WordPressをさくらのレンタルサーバとAWS Route 53で運用する – 1/2


はじめに

個人でブログをやっている人は今では珍しくないですが、ブログをHugoとEmacsのOrg-Modeの組み合わせで静的サイトとして構築してGitHubにプッシュしてNetlifyにデプロイしてホスティングする筆者のような運用は珍しい部類だと思います。今回は以下の理由から見直しを図りWordPressに乗り換えることにしまして、検討内容を記録することにしました。

移行する主な理由

  • 現行フローは記事を投入するまでの手順が複雑なので単純化して他のことに時間を使いたい
  • WordPressのブロックエディタ Gutenbergがv5.7で動作が安定していてUIとして魅力的で使いたい

WordPressホスティング環境の検討

さて、WordPressを使うことにしたためホスティング環境の検討が必要です。
筆者自身の要望を整理したところ以下の通りでした。

  • PVは月に2,000いけばよいぐらいの趣味ブログなのでランニングコストは月額¥500程度に留めたい
  • 記事 (コンテンツ) の拡充を目指したいのでサーバーインフラ整備に時間を割きたくない
  • サーバーインフラの契約は期間が長くても1年までに抑えたい (1年もあればIT周りのサービスは変わると思っているため)
  • 日毎のデータ転送量に過不足がない (転送料の上限が大きくても不安を覚えるので適度な数値がよい)
  • Let’s Encryptを使ったドメイン認証型のTLS/SSL証明のサポートが欲しい
  • ステージング環境の構築ができるとなおよい

最終的にホスティング環境はさくらのレンタルサーバに着地したのですが色々と悩みました。

Netlify

Netlifyでも以下のページによれば構築方法次第でWordPressを使えるようです。

しかしながら、筆者には特殊すぎると感じたため今回の環境構築では採用を見送ることにしました。

WordPress.com

Netlify以外でWordPressを使うことを考えた際、SaSS型のWordPressを提供しているWordPress.comが真っ先に思い浮かびました。過去にWordPress.comのフリープランを使ったことがあり、もしかしたらいいプランがあるのかもしれないと思ったのです。

WordPress.comの料金プランは下図の通りなのですが、各プランを確認したところ筆者のニーズに合うものはありませんでした。おそらくターゲット層が筆者とは違うのでしょう。

プランの説明を見る限り、広告で収益を上げたり、Googleアナリティクスを使うためにはプレミアムプラン以上が必要で、WordPressのプラグインやサイトバックアップとリストアの機能やSFTPとデータベースアクセスをするためにはビジネスプランが必要です。筆者はWordPressは壊れやすい、データベースにアクセスしてSQLで処理した方が楽なケースがあるという認識があり、その認識で進めるとビジネスプランを契約する必要があるのですが、趣味のブログに月額¥2,900 (年額一括払い)を負担するのは痛い出費です。

そのためWordPress.comの利用は見送ることにしました。

Azure

WordPressをAzureでホスティングした経験があるので一旦検討しましたが、結論は見えています。月のPVがせいぜい2,000程度の趣味ブログには費用対効果が悪すぎます。

Azure環境でWordPressをホスティングする場合、筆者はAzure Virtual Machineは避けたいのでAzure App ServiceAzure Database for MySQLの組み合わせを思い浮かべるのですが、WordPressの管理画面ログインだったり昨今のHTTPSは常にといった点を鑑みるとAzure App Serviceは独自ドメイン用SSLはF1またはD1ではサポートされていませんからBasic以上のプランは必須です。価格を抑えるためにWindowsではなくLinuxを選んでも¥1,500を超えます。そしてWordPressの動作要件にあるMySQLを満たすためにAzure Database for MySQLを使おうとするとプランを抑えても¥4,000は超えます。トータルするとAzure利用料として月々¥6,000ほどかかります。

Azure Portalなどからサイトを自分自身でケアできるのは確かに楽しいですけども出費と割にあいません。もちろん業務用途ならトラブル発生時のサポートやらオートスケールの恩恵を得られるAzureの方が良いと思います。この点は細部は異なるでしょうがAWSやGCPも似たような話になるでしょう。

以上の理由からAzureの利用は見送ることにしました。

さくらのレンタルサーバ

本命のさくらのレンタルサーバです。

レンタルサーバーは日本国内で色々とサービス展開されていますが、以下の要件を満たすサービスを展開しているのはさくらインターネットのさくらのレンタルサーバのみでした。

  • ランニングコストが月額¥500以下 (年間一括支払いによる割引後の金額)
  • 契約期間の縛りが長くても1年
  • 日毎のデータ転送量に過不足がない (転送料の上限が大きくても不安を覚えるので適度な数値がよい)
  • Let’s Encryptを使ったドメイン認証型のTLS/SSL証明のサポート
  • ステージング環境の構築ができる

さくらのレンタルサーバのスタンダードプランなら費用内訳は次のようになります。

項目金額 (¥)
初期費用1,048
スタンダードプラン利用料 (年間一括)5,238
合計6,286

結論

検討の結果がこちらです。

ホスティングフレームワーク
変更前NetlifyHugo
変更後さくらのレンタルサーバWordPress

HUGOとWordPressを同類に扱うのは少々無理があるとは思うのですが、利用者視点としてはフレームワークのような振る舞いをするのでここではフレームワークと呼ぶことにします。

次回は構築する時の苦労話です。