サマーウォーズ観ました

先日、サマーウォーズを観てきました。久しぶりに面白い作品と出会えました。大変良かったです。<!–more–>

<a rel="attachment wp-att-336" href="https://www.hiroakit.com/blog/archives/337/photo_090813_01"><img class="alignleft size-large wp-image-336" title="photo_090813_01" src="https://www.hiroakit.com/blog/photo/photo_090813_01-360x480.jpg" alt="photo_090813_01" width="360" height="480" /></a>私がこの作品が大変良かったと思う理由は、現実世界と仮想空間(ネット世界)を対比ないし対立という形を取っていないところにあります。今までも仮想空間を題材にしている劇場作品は多くありましたが、現実世界とネット世界が同等に扱われているようには思えませんでした。

それらの典型的な作品例としてマトリックスや攻殻機動隊は十分に挙げられるものだといえます。これらの劇場作品は、劇中での現実世界を一度観客に見せた後に、そこでの仮想空間の使われ方を説明し、そこで起きた問題を通じて近未来を伝えてきます。

物語は仮想空間での出来事を中心に描かれ、現実世界は補足的に扱われています。そのため、これらの作品の世界観に共感できるものがあったとしても親近感が湧くとは言いがたく、構築された世界に対して、あまりにも今の現実世界とはかけ離れたものだと感じてしまいます。もちろん作品としては十分に楽しめるもので、私の大好きな作品でもあります。ただ、これらの作品は機械の冷たさはひしひしと伝わってくるのですが、人間の温かさはほとんど伝わってこないため、仮想空間というものに恐怖を感じてしまいます。

一方、今回観たサマーウォーズは仮想空間(ネット世界)を人間臭さが十分にある場所であるといった視点から描いています。機械の冷たいものとして描かず、作中に登場する人物たちがインターネットを使うことは生活を便利にするからといったきちんとした説明があります。そのため、この作品の中にはインターネットをやっている人にひきこもり要素を持たせるという演出はなく、庶民的な描き方から作品への親近感が一気に高まります。

サマーウォーズは今の現実世界にとても近いところがあります。例えば、劇中ではOZという仮想空間上で自分の分身を意味するアバターを用いて多くの人とコミュニケーションがとれるウェブサービスを公共機関も例外なく誰もが使っているという説明から始まります。これはTwitterやFacebookを連想させます。物語が進んでいく中でOZの主要部分がハッキングされダウンした結果に社会で大きな騒動が発生するという場面がありますが、これは先日のTwitterやFacebookがDoS攻撃によってサーバーがダウンした件を想像させます。絵だけではなく脚本や構成もがきちんと調和してリアリティをうまく表現していて、そういったところから今の現実世界に近いものをと感じとることができます。

OZのダウンから物語が急速に進展していくのですが、そのときの栄おばあちゃんの演出にはお見事としか言いようがありません。アナログを理解しようとしない限りデジタルは扱いきれません、と栄おばあちゃんの行動から作品としてのメッセージが十分に伝わってくるように感じるからです。

物語の終盤では花札のこいこいで敵と戦います。そこでは人との繋がりを陣内家ー族、OZの中でのちょっとした挨拶程度の繋がりを使って、物語を終わらせてしまうのかと思った矢先に世界中の人から応援メッセージ届くという演出がとても素晴らしいものとなっています。その演出は「決着をつける」を多くの人との繋がりを経て行うというきちんとした目的を持っているものでした。これには感動を覚えるほかありません。

サマーウォーズおすすめです。